自然に恵まれた野生動物のパラダイスは、コーヒーファンにとっても楽園!?
海には美しい珊瑚礁が広がり、カンガルーやコアラなどの固有種が生態系を保つオーストラリア。世界的に知られるラグビーやテニスなどの選手を輩出していることから、スポーツが盛んなイメージを持つ方も多いかもしれません。そんな「アクティブ」な印象のあるオセアニアの大陸国ですが、実は世界でも有数のコーヒー好きの国でもあります。今回はオーストラリアのコーヒー文化とその背景についてお届けいたします。
・一人あたりのコーヒー消費は日本の約1.5倍
コーヒーのイメージがあまりないオーストラリアですが、実は1年に一人あたり535杯のコーヒーが消費されています。これはエスプレッソ発祥の地、イタリアの472杯を上回り、日本の339杯と比べると約1.5倍です。この消費量には加工品なども含まれ、缶コーヒーを飲む習慣がないオーストラリアでは自宅やカフェを中心にドリップやエスプレッソのコーヒーが広く楽しまれていることがわかります。多くの飲食店でコーヒーが提供され、カフェや喫茶店が身近な日本と比べての数字と考えると、どれくらい愛飲されているかイメージしていただけるのではないでしょうか。別の調査ではコーヒーを飲む習慣のある人は1日に3〜4杯のコーヒーを飲んでいるとも言われています。
・アフタヌーンティーがアフタヌーンコーヒーへと発展!?
歴史的な背景からオーストラリアはイギリス文化から大きな影響を受けています。元首はイギリスのチャールズ3世で公用語は英語。イギリスを代表する「フィッシュ&チップス」や「ミートパイ」も広く食されています。飲み物についても例外ではなくアフタヌーンティーパーティーなど友人や知人と紅茶を楽しむ文化が取り入れられ、家庭でも紅茶が欠かせないものとなりました。第二次世界大戦後にイタリアからの移民の影響でエスプレッソが持ち込まれ、1980年代以降にテラス席のあるオープンカフェが普及すると、広くコーヒー、カフェが楽しまれるようになります。近年はアフタヌーン「ティー」の代わりに「コーヒー」を選ぶ人も増えているようです。
・カフェ文化の発信地シドニー、メルボルン
オーストラリアで最初にコーヒー文化が開花したのはシドニーでした。前述の経緯があってカフェが普及すると独自のコーヒー文化を形成するようになります。やがて、その人気はメルボルンにも広がりました。現在、メルボルンは世界でも有数のカフェ激戦区です。約2万店舗の個人経営のカフェをもち、多くの人にとってコーヒーを飲むことが生活の一部です。一時期スターバックスコーヒーがオーストラリアから撤退したことも話題になりましたが、行きつけのカフェを見つけることも楽しみの一つとなっています。
・オーストラリア独自の飲み方
コーヒー文化が広がる中でオーストラリア独特の飲み方も生まれました。日本でも楽しめるカフェが少しずつ増えてきています。
<オーストラリアで生まれた飲み方>
ロングブラック:熱湯にエスプレッソを注いだもの
フラットホワイト:コーヒーにフォーム少なめのミルクを入れたもの
現在「多文化・多民族国家」となったオーストラリアでは、アラブやアジアなどの文化が取り入れられ、各国の料理を出すカフェが人気を集め始めています。 今後も新しいコーヒー文化が生まれることを期待できるのではないでしょうか。